八ツ田和夫の大学生活

最前列の「天使」

八ツ田和夫は大学の講義で必ず最前列に座ります。
大学の講義は自由に着席することができるので、前の方の席は空席が目立つことが多く、最前列に誰かが座ることなんていうのは通常ありえません。
しかし、八ツ田和夫はそんなことを気にしません。どの講義でも最前列に座ります。
最前列に座っている彼は、講義の最中に居眠りすることはありません。
先生の話にはいちいち頷き、質問がある時はためらわず手を挙げます。
それでよく授業が中断することになるので、授業の先を聞きたい学生の中には彼のことを煙たく感じる人もいます。
八ツ田和夫はまじめにノートをとります。
一回も休まず、そして一言ももらさずノートをとるので、彼のノートを読めば、授業に出たのと同じぐらいの情報が手に入ります。
しかも、先生がどんな下手な講義をしても、彼はそれをうまくまとめる能力があります。
なので、授業によっては「先生の講義よりもわかりやすい」と他の学生からは絶賛されています。
そして、試験前に彼はクラス一の人気者となるのです。
彼の周りにはノートを借りたいという受講者が列をなすことになります。
八ツ田和夫はそんな不謹慎な要望にも嫌な顔ひとつせずこたえるので、いつしか彼は最前列の天使と呼ばれるようになりました。

図書館の「住人」

講義がない時、八ツ田和夫は必ず図書館にいます。
図書館では、趣味の小説を読むこともあるのですが、ほとんどが講義の復習に時間を費やしています。
講義中にとったノートを見返したり、密かに録音している講義内容を聞き直したりして、ノートを再び整理します。
ノートを整理していく中で、わからないことが出てきた場合、徹底的にわからないことをあきらかにしようとします。
図書館にある本、あるいはいつも持ち歩いているノートパソコンを使って、自分に不足している知識の収集につとめます。
そして、欠けていた知識を補うことで、より完璧なノートをつくることに喜びを感じるのです。
一度調べだすと、八ツ田和夫は時間を忘れ、調べごとに没頭します。
図書館員が声を掛けるまで、閉館時間を迎えたことにさえ気づきません。
そして、閉館時間までに調べられなければ、次の日は朝一番で図書館に入り、調べ物の続きをします。
そして次の授業が行われるまでに完璧なノートを完成させるのです。
したがって、図書館にいない時間帯は、講義がある時か、昼食の時だけです。
ですので、時々図書館を利用する学生からすれば、八ツ田和夫はまるで図書館の住人のように見えてしまうのです。

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